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お客様の評価

今、現場のエンジニアに求められること

GRブランドの商品企画および開発を
担当しているGAZOO Racing Company 
GR開発統括部 纐纈 正樹様に
今回の開発プロジェクトにおけるトラスト・テックのものづくりに対する姿勢と、
現場のエンジニアに求められることについてお話しを伺いました。

PROJECT MEMBER

纐 纈 正 樹
KOUKETSU MASAKI
トヨタ自動車(株)
GAZOO Racing Company
GR Vitz開発責任者

1988年にトヨタ自動車入社。国内営業部、技術部、 商品企画部を経て「G’s」を立ち上げ、全G’sに携わる。 現在は、G’sの流れを汲むGRブランドの商品の 企画開発および体制づくりを担当している。

エンジニアの感性と
コミュニケーション力。
それが、開発の現場で求められている

エンジニアの感性とコミュニケーション力。
それが、開発の現場で求められている

今回のプロジェクトについて、詳しく教えてください。

纐纈:今回、トラスト・テックの皆さんに担当していただいた「GR Vitz」は、GRブランドの第1弾モデルです。GRは、モータースポーツを通じて得られたノウハウを注いで開発したモデルで、これまでのスポーツコンバージョン車「G’s」に、さらに磨きをかけて新しく「GR」の名の下に再構築したブランドです。今回、トラスト・テックの皆さんにはフロントバンパー部分を担当していただきました。フロントバンパーは、デザイナーの思い、エンジニアの思いを特に表現した部分になっています。

車の設計・開発の現場において、今エンジニアに求められていることは、どのようなことでしょうか。

纐纈:ものづくりの現場において、現在、求められていることは、スピード感です。現在、車に対するお客様のニーズは、年々、多様化しています。一方で、それぞれのニーズに合わせて新たなモデルを開発するとなると時間もお金も膨大にかかり、なかなか新しい商品を出すことができません。

GRは、Vitz、86、プリウス、MARK Xなどのトヨタ自動車を代表する車種の遺伝子を受け継ぎながら、「走る楽しさ」をさらに追求したスポーツカーブランドです。標準車をベースに開発することで、スポーツカーファンやこだわりを求めるお客様の様々なニーズに合わせたモデルを短期間で提供することができます。それが、GRブランドの最大の特長の1つです。

そのため、商品企画から設計・開発、発売までのスパンが非常に短いプロジェクトでしたが、このような厳しいスケジュールの中でトラスト・テックの皆さんには非常にスピード感のある対応をしていただいたと思います。

フロントバンパーは、
その車を印象づける大切な顔

フロントバンパーは、
その車を印象づける大切な顔

トラスト・テックと仕事をしていかがだったでしょうか?また、どのような点が良かったでしょうか。

纐纈:今回のプロジェクトに関しては、非常に満足しています。GRは、標準車をベースにカスタマイズして開発しているモデルですが、「GR Vitz」は、第1弾モデルと言うこともあり、特にフロントバンパーはブランドの顔となる部分です。スポーツカーブランドとしての戦闘力を印象づけるためにデザインを大幅に見直しました。

フロントバンパーの正面部分には、レース車に由来したスポーティな顔にするため“Functional MATRIX”グリルと呼ばれる水平・垂直を基調にした四角形のデザインを採用していますが、これを国交省認可済車両として販売するためには空力性能や燃費性能を大幅に改善する必要がありました。

車の設計・開発は、最初はデザイン担当者とやりとりしながら図面に落とし込み、現実的に製造できるかどうかをすり合わせしていきます。次に型を作る金型屋さんと、最後に製造工場とやりとりしながら調整をしていく仕事です。

トラスト・テックの皆さんの仕事で最も良かった点は、短いスケジュールの中で関係各所との調整に積極的に取り組んでくださったことです。今回は、オフラインまでの期間が特に短かったので、スケジュールの面では大変、厳しいプロジェクトでしたが、トラスト・テックの皆さんに頑張っていただき何とかラインオフまでこぎつけることができました。

関係各所への積極的な調整によって、どのような効果がありましたか。また、他社と違うトラスト・テックならではの良さがあれば教えてください。

纐纈:短いスパンの中で設計変更の非常に少ない開発ができました。ここは、トラスト・テックの皆さんの非常に優秀なところです。他のチームだったら、この短い期間の中でここまで上手くいかなかったと思います。

通常ですと図面が決定してからも、ある程度変更する部分が出てきますが、今回のプロジェクトでは変更が非常に少なく最小限に抑えることができました。

設計者の顔が見える。
だから、信頼して任せられる

設計者の顔が見える。
だから、信頼して任せられる

ものづくりの現場で求められる理想のエンジニアとは、どのような人物でしょうか。

纐纈:1つは、相手の言っていることを正しく解釈してやり取りできる「感性」です。

デザインを決めていく際に、デザインモックを作ることになりますが、実車をイメージして陰影のしっかりしたものを作ります。しかし、この陰影を実際の商品として形にするのは、エンジニアの皆さんです。

デザイン画と図面を基にエンジニアの皆さんがデザインの意図を汲み取る感性がなければ、出来上がったものがデザインモックで作った造形と何かが異なり、何度も設計をやり直すことになってしまいます。意図したデザインを形にするためには、設計の力が欠かせません。

もう1つは、受け身ではなく、前向きに提案する力、解決する力が必要だと思います。そして、誰にも負けない、世界一の仕事をしているんだ、という自負を持つことです。こうしたやる気や前向きな姿勢が「この人ならば仕事を任せられる」という信頼にもつながります。

最後に、トラスト・テックに今後、期待することを教えてください。

纐纈:今回のプロジェクトにおいてトラスト・テックの皆さんには、エンジニアとして理想的な仕事をしていただいたと感じています。ひと言で言えば、“設計者の顔の見える”仕事だったと思います。

例えば、分からないところや何か問題があったときには積極的にアポをとって私のところに相談に来てくれていました。もちろん、何でも相談に来られては困ってしまいますが(笑)、このようなフットワークの軽さは、受け身ではなく、前向きに課題を解決する姿勢があるからこそだと思います。また、仕事に対する積極的な姿勢が「この人なら、このチームなら任せられる」という信頼にもつながっています。

外装設計は初めての試みだったと聞いていますが、今後はもっと幅広い範囲でお仕事をお願いできるようになればと期待しています。

PROJECT STORY

今、現場のエンジニアに
求められること
GRプロジェクトで問われた
エンジニアの真価
その時、エンジニアは
どう壁を乗り越えたのか?